通信工事の現場に潜む危険!高所作業、感電、重機災害…事故と対策の徹底解説
現代社会を支える通信インフラの構築・保守は、私たちの生活に不可欠な業務です。しかし、その現場では、高所作業、電気設備を扱う感電リスク、そして重機を使用する上での災害といった、様々な危険が伴います。これらの事故は、重大な労働災害に繋がりかねません。
本記事では、通信工事現場で起こりうる代表的な事故とその対策を徹底的に解説し、安全意識の向上と災害防止に貢献します。
1. 墜落・転落災害:高所作業における最大の脅威
通信工事における鉄塔や電柱での作業、屋上での作業など、高所作業は常に墜落・転落の危険と
隣り合わせです。一瞬の油断や不安全な行動が、重大な事故に繋がる可能性があります。
起こりうる事故の例
- 安全帯の不使用や不適切な使用による墜落。
- 足場の不安定や踏み外しによる転落。
- 昇降中の踏み外しやバランスを崩しての転落。
- 強風や悪天候下での作業による墜落・転落。
- 高所での作業中に工具や資材を落下させ、下方の作業者や第三者に危害を加える。
徹底的な対策
- 作業前の安全確認
- 作業計画の綿密な確認と周知。
- 足場、昇降設備、使用する工具・保護具の点検を必ず実施。
- 作業場所周辺の危険物や障害物の確認と除去。
- 天候状況(風速、雨、雪など)の確認と、悪天候時の作業中止基準の徹底。
- 適切な保護具の着用と使用:
- 安全帯(墜落制止用器具)の完全着用: 作業内容に適した規格の安全帯を選定し正しい装着方法と使用方法を徹底する(2丁掛けの原則遵守)。
- 安全ヘルメットの着用: 落下物や衝突から頭部を保護する。
- 作業用手袋、安全靴: 手や足の怪我を防止する。
- 安全な作業手順の遵守:
- 定められた作業手順を遵守し、自己判断での危険な行動は絶対にしない。
- 高所での移動は慎重に行い、常に安定した姿勢を保つ。
- 工具や資材は落下防止措置を徹底する(ロープで固定、工具袋に入れるなど)。
- 作業範囲内への関係者以外の立ち入りを禁止する。
- 安全教育と訓練の実施:
- 高所作業に関する安全教育を定期的に実施し、危険性と対策を周知徹底する。
- 安全帯の正しい装着方法や緊急時の対応訓練などを実施する。
- 緊急時の救助体制の整備:
- 万が一、墜落・転落事故が発生した場合の救助体制(連絡体制、救助方法、救助器具など)を事前に整備しておく。
2. 感電災害:電気設備を扱う上での重大リスク
通信工事では、既存の電力設備や通信設備、あるいは仮設電源などを扱う際に、感電の危険性が常に伴います。感電は、軽傷で済む場合もありますが、心室細動や呼吸停止を引き起こし、死亡に至る可能性もある重大な災害です。
起こりうる事故の例
- 活線状態の電線や端子に誤って接触する。
- 絶縁不良の工具や機器を使用する。
- 濡れた手や汗ばんだ状態で電気設備に触れる。
- 接地不良の機器を使用する。
- 落雷による感電。
- 誤った配線や接続による感電。
徹底的な対策:
- 作業前の安全確認:
- 作業箇所の電気系統図を確認し、電源の状態を正確に把握する。
- 作業範囲内の活線部分を特定し、適切な絶縁措置を施す。
- 使用する工具や測定器の絶縁状態を点検する(耐圧試験の実施など)。
- 作業場所の接地状況を確認する。
- 作業時の安全措置:
- 原則として停電作業: 可能な限り、作業前に必ず電源を遮断し、遮断器に施錠や表示を行う。検電器を用いて、確実に非充電状態であることを確認する。
- 活線作業時の厳格な管理: やむを得ず活線作業を行う場合は、絶縁保護具(絶縁手袋、絶縁衣、絶縁靴、保護メガネなど)を必ず着用し、作業手順を遵守する。作業指揮者を配置し、監視体制を強化する。
- 接地の徹底: 使用する電気機器は、適切な接地を施す。
- 濡れた状態での作業禁止: 雨天時や湿気の多い場所での電気作業は原則として中止する。
- 雷対策: 雷注意報や警報が発令された場合は、電気作業を中止し、安全な場所に避難する。
- 誤配線防止: 配線作業は、電気系統図に従い、色分けやラベル表示などを活用して、誤配線を防止する。
- 安全教育と訓練の実施:
- 感電の危険性や応急処置に関する安全教育を定期的に実施する。
- 絶縁保護具の正しい着用方法や検電器の使用方法などの実技訓練を行う。
- 緊急時の対応:
- 感電者が発生した場合の応急処置(救助方法、人工呼吸、心臓マッサージなど)を習得しておく。
- 緊急連絡体制を整備しておく。
3. 重機災害:一歩間違えば重大事故に直結
基地局建設やケーブル埋設工事など、通信工事の現場ではクレーン、バックホー、高所作業車などの重機が頻繁に使用されます。これらの重機は、操作を誤ると重大な災害を引き起こす可能性があります。
起こりうる事故の例:
- 重機の転倒・横転。
- 重機と作業員や第三者との接触・挟まれ。
- 吊り荷の落下。
- アームやバケットの接触。
- 地盤の崩落による重機の転倒。
- 有資格者以外の無資格運転。
- 合図の不徹底による誤操作。
徹底的な対策:
- 作業前の安全確認:
- 作業計画における重機の種類、作業範囲、移動経路などを明確にする。
- 使用する重機の日常点検を必ず実施し、異常がないことを確認する。
- 作業場所の地盤の安定性、障害物の有無、周辺の状況(電線、建物など)を確認する。
- 作業に必要な誘導員を配置し、合図の方法を明確にする。
- 安全な作業手順の遵守:
- 定められた操作手順を遵守し、無理な操作や急な操作は絶対にしない。
- 作業半径内への関係者以外の立ち入りを禁止する。
- 吊り荷の重量制限を遵守し、適切な玉掛けを行う。
- 重機を移動させる際は、周囲の安全を十分に確認し、誘導員の合図に従う。
- 作業中は、常に周囲の状況に注意を払い、死角をなくすように努める。
- 休憩時や作業終了時は、重機を安全な場所に停車させ、ブレーキをかけ、必要に応じて輪止めをする。
- 有資格者の配置と無資格運転の禁止:
- 重機の操作は、当該機種の運転資格を持つ有資格者が行うことを徹底する。無資格運転は絶対に禁止する。
- 合図の徹底:
- 重機操作における合図は、定められた方法で行い、作業員全員が理解できるように徹底する。
- 安全教育と訓練の実施:
- 重機の安全な操作方法、点検方法、合図の方法などに関する安全教育を定期的に実施する。
- 実機を用いた操作訓練や、緊急時の対応訓練などを実施する。
- 作業環境の整備:
- 重機の移動経路や作業範囲は、できる限り平坦で安定した状態に保つ。
- 夜間作業や視界不良時の作業は、適切な照明を確保する。
まとめ:安全意識の向上と対策の徹底で労働災害ゼロへ
通信工事現場における高所作業、感電、重機災害は、いずれも重大な労働災害に繋がる可能性があります。それぞれの事故の特性を理解し、作業前の徹底的な安全確認、適切な保護具の着用と使用、安全な作業手順の遵守、そして継続的な安全教育と訓練が不可欠です。
現場で働く一人ひとりが高い安全意識を持ち、本記事で解説した対策を徹底することで、労働災害を未然に防ぎ、安全で安心して作業できる環境を実現しましょう。安全は全ての業務に優先する最重要事項であることを常に意識し、無災害の達成に向けて全員で取り組んでいきましょう。
