インフラエンジニアの仕事内容を徹底解説:社会の基盤を支えるプロフェッショナル

今回は、インフラエンジニアが具体的にどのような仕事をしているのか、その詳細を掘り下げていきましょう。インフラエンジニアの業務は多岐に渡り、プロジェクトの規模やフェーズ、担当する領域によってその内容は大きく異なります。
1. 設計フェーズ:最適なIT基盤をデザインする
設計フェーズは、クライアントの要望やシステムの要件を深く理解し、それを実現するためのITインフラの全体像を描く重要な段階です。このフェーズでの検討不足は、後の工程に大きな影響を与えるため、慎重な作業が求められます。
- 要件定義: クライアントのビジネス目標やシステムの目的をヒアリングし、必要なITインフラの機能や性能、セキュリティ要件などを明確にします。
- 構成検討: 要件定義に基づき、最適なサーバー構成(物理/仮想)、ネットワーク構成、ストレージ構成、OS、ミドルウェアなどを選定します。将来の拡張性や可用性、コスト効率なども考慮します。
- サイジング: システムの負荷を予測し、必要なハードウェアリソース(CPU、メモリ、ディスク容量など)を見積もります。
- ネットワーク設計: ネットワークのトポロジー(構成図)、IPアドレス設計、ルーティング設計、セキュリティポリシーなどを策定します。
- セキュリティ設計: 情報漏洩や不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策(ファイアウォール、IDS/IPS、アクセス制御など)を設計に組み込みます。
- 可用性・冗長化設計: システム障害に備え、冗長化構成やフェイルオーバーの仕組みなどを設計します。
- DR (Disaster Recovery) / BCP (Business Continuity Plan) 策定: 災害発生時でも事業を継続するための計画や、システム復旧の手順などを策定します。
- 設計書作成: 上記の設計内容を詳細なドキュメントにまとめ、関係者間で共有します。構成図、設定手順書、テスト計画書などが含まれます。
2. 構築フェーズ:設計図を現実のシステムとして作り上げる
設計フェーズで作成された設計書に基づいて、実際にITインフラを構築していく段階です。正確な作業と丁寧な設定が求められます。
- ハードウェア調達・設置: 設計に基づき、サーバー、ネットワーク機器、ストレージなどを調達し、データセンターやオンプレミス環境に設置します。
- OSインストール・設定: サーバーにOS(Windows Server、Linuxなど)をインストールし、基本的な設定を行います。
- ミドルウェアインストール・設定: Webサーバー(Apache、Nginx)、データベース(MySQL、PostgreSQL)、アプリケーションサーバーなどをインストールし、アプリケーションが動作するように設定します。
- ネットワーク機器設定: ルーター、スイッチ、ファイアウォールなどのネットワーク機器に対して、設計に基づいた設定(IPアドレス、ルーティング、VLAN、アクセスリストなど)を行います。
- ストレージ設定: ストレージ装置の初期化、ボリューム作成、RAID構成などを設定し、データを安全に保存できる環境を構築します。
- 仮想化基盤構築: VMware、Hyper-Vなどの仮想化ソフトウェアを導入し、仮想サーバーの作成や管理を行います。
- クラウド環境構築: AWS、Azure、GCPなどのクラウドプラットフォーム上で、仮想サーバー、ネットワーク、ストレージなどのリソースをプロビジョニングし、構成を構築します。
- 自動化スクリプト作成: 構築作業を効率化するためのスクリプト(Shell Script、Pythonなど)を作成することもあります。
- テスト: 構築したITインフラが設計通りに動作するか、性能要件を満たしているかなどを検証するための各種テスト(疎通確認、負荷テスト、機能テストなど)を実施します。
3. 運用フェーズ:システムの安定稼働を支える
構築されたITインフラが安定して稼働するように、日々の監視やメンテナンスを行う重要なフェーズです。
- システム監視: サーバーの稼働状況、ネットワークのトラフィック、リソースの使用率などを監視ツールを用いて 継続的に監視し、異常を早期に発見します。
- ログ監視: システムやアプリケーションのログを分析し、潜在的な問題やセキュリティ上の脅威を検知します。
- パフォーマンス監視: システムのパフォーマンスを監視し、ボトルネックとなっている箇所を特定し、改善策を検討・実施します。
- ジョブ管理: 定期的に実行されるバッチ処理などのジョブのスケジュール管理や実行状況の確認を行います。
- バックアップ・リストア: 障害発生時に備え、定期的にデータのバックアップを取得し、必要に応じてリストア作業を行います。
- セキュリティ対策: セキュリティパッチの適用、脆弱性診断、不正アクセス監視など、セキュリティレベルを維持・向上させるための活動を行います。
- キャパシティプランニング: 将来的なシステム利用状況の増加を見込み、必要なリソースを予測し、増強計画を立てます。
- ドキュメント管理: システム構成図、運用手順書、障害対応手順書など、運用に必要なドキュメントを整備・管理します。
4. 保守フェーズ:障害対応と改善活動
システムに障害が発生した場合の対応や、老朽化した機器の交換、システムの改善などを行うフェーズです。
- 障害対応: 障害発生時には、迅速に原因を特定し、復旧作業を行います。影響範囲を最小限に抑えるための冷静な判断と対応力が求められます。
- インシデント管理: 障害の発生から復旧、そして再発防止策の実施までの一連のプロセスを管理します。
- 問題管理: 発生した障害の原因を根本的に究明し、再発防止のための対策を検討・実施します。
- 構成管理: ITインフラの構成情報を常に最新の状態に保ち、変更管理を行います。
- 機器交換・増設: 老朽化したハードウェアの交換や、システム拡張に伴う機器の増設作業を行います。
- システム改善提案・実施: 運用状況やパフォーマンス 分析 し、より効率的で安定したシステム運用を実現するための改善策を提案・実施します。
- ベンダー管理: ハードウェアやソフトウェアのベンダーとの折衝や契約管理などを行います。
まとめ
インフラエンジニアの仕事内容は、設計から構築、運用、保守まで、ITインフラのライフサイクル全般に渡ります。それぞれのフェーズで専門的な知識やスキルが求められ、プロジェクトや担当領域によってその比重は異なります。しかし、どのフェーズにおいても、システムの安定稼働とクライアントのビジネス継続に貢献するという共通の目標を持っています。

SES企業に所属するインフラエンジニアは、様々な業界や規模のクライアントのプロジェクトに参画することで、幅広い技術や経験を積むことができます。多様な環境で課題解決に取り組むことは、自身の成長を大きく促すでしょう。 インフラエンジニアは、目立たないながらも社会や経済活動を根底から支える、非常にやりがいのある仕事です。高度な専門性と責任感が求められますが、その分、達成感も大きいと言えるでしょう。